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Introduction歯周病で歯を失わないために
歯周病は、虫歯と並んで歯を失う二大原因の1つです。
歯茎の炎症から始まり、やがて歯を支える骨が溶けて最終的に歯が抜ける恐ろしい病気です。
歯周病は、初期のうちは痛みのような自覚症状が少なく、気づかないうちに進行します。
そして、歯のグラつきや歯肉退縮などの自覚症状を感じる中度以上の状態に進行するまで、見逃されることも少なくありません。
歯周病の早期治療は、歯を失わないための最も有効な手段であり、放置は厳禁です。
このページでは、当院の歯周病治療の特徴や原因、セルフケア方法について紹介しています。
大切な歯を歯周病から守るために、まずは歯周病の兆候がないか歯科医院で確認しましょう。
Explanation歯周病とは?
歯周病とは、歯と歯茎の境目に歯垢や歯石が溜まることが原因で、歯肉に炎症が生じる病気です。
進行すると、炎症が歯を支える骨にまで及び骨が少しずつ溶け、最終的には歯を支える骨がなくなって抜け落ちてしまう可能性があります。
歯周病は「サイレントキラー(静かなる病気)」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま進行するのが特徴です。
日本の成人の約3人に1人が歯周病に罹患しており、特に30~40代の方に多く見られます。
歯周病から歯を守るためには、早期発見・早期治療により少しでも進行する前に食い止めることが大切です。
歯周病治療は保険適用内で行われることが多く、軽度であれば定期的な検診やクリーニングによって改善と予防が期待できます。
Symptoms歯周病の症状と進行について
歯周病は、進行状況に合わせてP1 〜P4までの4つの段階に分類されます。
P1
P1は、歯周病の初期段階で「歯肉炎」と呼ばれる状態です。
歯茎だけに軽い炎症や腫れが見られます。
自覚症状はほぼありませんが、歯磨きの際に歯ブラシに血が付くなど、歯茎からの出血が見られる場合があります。
歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの深さは2~3mm程度です。
炎症は歯茎のみで、まだ歯を支える骨(歯槽骨)には炎症がありません。
この段階でのケアと治療は非常に重要で、適切に対処すれば健康な歯茎に戻すことができます。
P2
P2は、炎症が歯を支える骨にまで広がった状態です。
「歯周炎」と呼ばれる状態になり、歯を支える骨が溶け始め、歯周ポケットの深さは3~5mm程度にまで広がります。
口臭が強くなったり、歯茎からの出血が頻繁に見られるようになったりすることもあります。
また、歯が浮いているような感覚や軽いぐらつきを感じる場合がありますが、自覚していない人も多いです。
歯周炎で溶けた骨は元に戻らないため、症状が進行する前に一刻も早い治療が求められますが、適切な治療を受ければ歯を失うリスクを大幅に減らすことができる段階です。
P3
P3は「中等度歯周炎」と呼ばれる状態です。
歯を支える骨がさらに溶けて通常の半分程度にまで減少し、歯周ポケットの深さは5~6mm程度に達します。
これにより、歯茎が下がってきたと感じたり、歯の根が露出することで歯が長くなったように見えたりします。
また、歯のぐらつきや痛み、歯が浮いているといった自覚症状が出始めることが多いです。
口臭の悪化や歯茎からの出血が続く場合もあり、この段階で適切な治療を受けないと病状はさらに進行し、歯を失うリスクが一層高まります。
P4
P4は「重度歯周炎」と呼ばれる、歯周病の最終段階です。
歯を支える骨がほとんど溶け、歯周ポケットの深さは8mm以上に達します。
歯も大きくぐらつくようになり、歯茎の色は赤黒く変色して、触れるとぶよぶよとしています。
歯茎は著しく退縮し、歯の根が露出します。
口臭も悪化し、歯茎の痛みや不快感を強く感じることが多いです。
歯を支える骨の喪失が進行しているため、歯の保存が困難になり、抜歯が必要になる場合があります。
Cause歯周病の原因
細菌の蓄積
歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊の蓄積です。
歯垢は、食事のあとに歯の表面に残った食べかすや死んだ粘膜細胞のタンパク質をエサとして、さまざまな口内細菌が結びつくことで形成されます。
1mgの歯垢には1億個以上の細菌が含まれており、この中には歯周病の原因となる細菌も存在しています。
歯周病菌は嫌気性菌と呼ばれ、空気を嫌う性質を持っています。
そのため、歯垢が蓄積されるほど歯周病の原因菌に空気が触れにくくなって活発化し、歯周病が発症するのです。
歯垢は食後数時間で作られ始め、適切な歯磨きで取り除かれないまま放置されると少しずつ歯に溜まっていきます。
そして、蓄積された歯垢は時間の経過とともに唾液中のカルシウムやミネラルなどと結合し、石灰化して硬い歯石へと変化します。
歯石は、歯ブラシでは除去することができない歯の汚れです。
歯周病の発生源となる歯と歯茎の境目に付着しやすく表面がザラザラしているため、歯垢が溜まりやすい環境となり歯周病を悪化させます。
歯周病になりやすい人
次の項目に当てはまる方は、歯周病になりやすい傾向があります。
・歯磨きが正しくできていない
・口呼吸をしている
・歯並びが悪い
・強い歯ぎしりや食いしばりがある
・喫煙習慣がある
・糖尿病をわずらっている
・長い間、歯科医院に行っていない
・ストレスが多い生活をしている
これらの要因がある場合は歯周病のリスクが高いため、定期的な検診と適切なケアが必要です。
Ailment歯周病と全身疾患との関係性
歯周病は単なる口腔内の問題にとどまらず、全身の健康にも重大な影響を及ぼすことが明らかになってきました。
特に注目されているのは、誤嚥性肺炎や糖尿病、循環器障害(脳梗塞・心筋梗塞)、認知症、低体重児出産との関連です。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、飲み込んだ食べ物や唾液が誤って気道に入り、肺に感染を引き起こす病気です。
口内の歯周病の原因菌が唾液とともに肺へと運ばれ、肺に炎症を起こすリスクが高まります。
高齢者や免疫力が低下している人々にとって誤嚥性肺炎は命に関わる深刻な疾患であり、口腔ケアの重要性とともに歯周病の予防がますます認識されるようになっています。
糖尿病
歯周病と糖尿病は双方向の関係にあります。
糖尿病があると免疫機能が低下し、感染症への抵抗力が弱まるため歯周病が進行しやすくなります。
また、歯周病の炎症が血糖値のコントロールを難しくし、糖尿病の悪化を招くことが知られています。
歯周病の治療を行うことで、糖尿病の管理が改善される可能性があるため、両疾患の早期発見と治療はとても重要です。
循環器障害(脳梗塞・心筋梗塞)
歯周病菌や炎症性物質であるサイトカインが血管内に入り込むと血管の内壁にダメージを与えるため、動脈硬化や血管障害を引き起こすリスクが高くなります。
これにより、脳梗塞や心筋梗塞などの循環器障害が発生する可能性も高くなるため、注意が必要です。
認知症
歯周病菌が歯茎の血管から体内に侵入して脳に到達すると、神経細胞に悪影響を及ぼすアミロイドβという物質が生成・蓄積され、これにより認知症になるリスクが高くなる可能性があります。
また、歯周病で歯がぐらついたり失ったりすることで噛み合わせが乱れ、脳への刺激が少なくなることでも認知症を発症する可能性があります。
低体重児出産
妊婦が歯周病を患っている場合、低体重児出産のリスクが高まることが分かっています。
歯周病菌や炎症性物質が胎盤に影響を与え、胎児の成長を阻害して早産や低体重児出産を引き起こす可能性があるためです。
Treatmentエス歯科の歯周病に対する治療
スケーリング
歯周病の進行を抑えるために欠かせない治療が「スケーリング」です。
歯周病の原因となる歯の表面やセルフケアでは落とせない深い歯周ポケットの中に付着した歯垢や歯石を、専門的な機械を使って除去します。
スケーリングには、2つの手法があります。
超音波スケーリング
超音波が発生する機械を使用し、超音波の振動を利用して歯石を効果的に砕いて除去する方法です。
治療中の痛みが少なく、短時間で広範囲の歯石を効率的に除去することができます。
手用スケーリング
小さな刃物を使って手作業で細かな操作を行い、歯石を取り除く方法です。
超音波スケーリングで除去しきれない部分を補完して、細部の歯石まで取り除くことができます。
ルートプレーニング
専用の器具で歯周病に汚染された歯の根の組織(セメント質)を除去し、歯の根の表面を磨いて滑らかにする治療です。
スケーリングで歯石や歯垢を除去したあとにルートプレーニングを行い、歯周病による炎症を抑えて歯周組織の回復を目指すために行います。
また、歯根の表面を滑らかにすることで新たなプラークや歯石が付着しにくい状態に整えることで、歯周病の再発を防ぐ効果も期待できます。
痛みが強い場合は、局所麻酔を使用してルートプレーニングを行います。
デブライドメント
専用の器具を使用して、歯の根に付いた歯垢を徹底的に除去する治療です。
歯周病の進行を食い止めて歯周組織の回復を促し、再発を防ぐ効果が期待できます。
スケーリングとセットで行われることが多いです。
デブライドメントとルートプレーニングとの違いは、歯の根のセメント質を研磨するかしないかです。
ルートプレーニングは、歯周病に侵されたセメント質を研磨して滑らかにしますが、デブライドメントは歯の根の歯垢を取り除くだけで、歯の根を滑らかにするための研磨は行いません。
咬合調整
噛み合わせが悪いと上下の歯が強くあたって歯に負担がかかり、歯周組織にダメージを与えて歯周病を急速に進行させる場合があります。
そのため、噛み合わせのバランスが悪い場合は咬合調整を行い、噛む力が特定の歯に過度に集中しないように整えて歯周病の進行を防ぎます。
特に、歯ぎしりや食いしばりが強い方、歯並びが悪い方は、噛み合わせによる歯周病の進行が懸念されるため、歯周病治療として咬合調整を行うことが多いです。
生活習慣指導
歯周病の治療と予防には、歯科医院でのプロフェッショナルケアだけでなく、日常生活でのセルフケアが欠かせません。
生活習慣指導では、患者様一人ひとりの生活スタイルや歯周病のリスクに合わせたアドバイスを行い、患者様が健康な口腔環境を維持できるようにライフスタイルの見直しをサポートいたします。
規則正しい生活のご案内
歯周病は、身体の免疫力が低下することで悪化する可能性があります。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持することが、歯周病の進行を抑えるために重要です。
当院では、これらの習慣を具体的にどのように改善できるか、患者様に合わせた指導を行っています。
禁煙のすすめ
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて血液の流れを低下させることで身体の免疫機能を低下させるため、歯周病悪化のリスクを高めます。
そのため、当院では喫煙習慣のある方には禁煙をおすすめしております。
当院では、禁煙に向けたサポートやアドバイスを行い、患者様とともに対策を考えさせていただきます。
Prevention歯周病の予防方法
セルフケア
歯周病は、日常のセルフケア方法や生活習慣に影響されやすい病気です。
特に自宅でのセルフケアが、歯周病予防には非常に大切です。
以下のポイントを意識して、歯周病を予防しましょう。
適切な歯磨きを毎日行う
毎日の歯磨きは、歯周病の基本的かつ最も重要な予防策です。
食後には歯磨きを行い、食べかすや歯垢をしっかり除去しましょう。
外出先で歯磨きが難しい場合は、水やマウスウオッシュで口をゆすぐことで歯垢の蓄積を軽減できます。
免疫力の向上に努める
免疫力を高めることも、歯周病の予防には欠かせません。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、定期的な運動、ゆっくり湯船に浸かることなどが免疫力の向上に効果的です。
禁煙
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて歯周病の原因菌に対する免疫機能を低下させます。
これにより歯周病のリスクが高まるため、タバコを吸う本数を少しずつ減らして禁煙を目指しましょう。
歯科医院で行うプロフェッショナルケア
どれだけ丁寧にセルフケアを行っていても、毎日完璧にすべての歯垢を取り除くことは難しいです。
歯と歯の間や歯周ポケットの中に残った歯垢が時間の経過とともに蓄積して、歯周病を引き起こすことがあります。
わずかに残った歯垢は歯ブラシで落とせない歯石になり、新たな歯垢の付着を促進します。
歯石は3〜6ヶ月に1回くらいのペースで、定期的に歯科医院で専門の機械を使って落とすのがおすすめです。
また、歯周病による歯の喪失を防ぐには初期段階で対処することが何より大切ですが、自覚症状がないため知らないうちに進行しやすい病気です。
定期検診を受けることで、歯周病の兆候を素早く発見することができるようになるでしょう。
Q&Aよくある質問
-
歯周病は治療すれば完全に治りますか?
-
歯周病は進行を止めることは可能ですが、歯を支える骨が溶け始めると完全に元の状態に戻すことは難しいです。
早期治療によって歯周病の進行を遅らせて歯を長く健康に保つことができるため、定期的に歯科医院に通い、早期発見・早期治療に努めましょう。
-
妊娠中に歯周病が悪化することはありますか?
-
妊娠中は、つわりによって十分な歯磨きができないことやホルモンバランスの変化により、歯周病が悪化しやすい傾向があります。
妊娠前や安定期に歯科検診を受け、口腔内の健康を保つことが重要です。
-
子どもも歯周病になる可能性はありますか?
-
子どもでも歯周病にかかる可能性はあります。
特に思春期はホルモンバランスの変化によって歯茎が敏感になり思春期性歯肉炎を起こしやすいため、適切なケアが必要です。
-
どのくらいの頻度で歯科医院に通えば良いですか?
-
歯周病の予防と治療には、3~6ヶ月に一度の定期検診とプロフェッショナルケアがおすすめです。
歯科医師と相談し、ライフスタイルや口内の状態を考慮して適切な頻度で通院しましょう。
-
歯周病の治療にはどれくらいの期間がかかりますか?
-
歯周病の進行度や治療方法によって異なりますが、通常数ヶ月にわたる治療が必要です。
歯周病の進行を食い止めるには、定期的な通院と日々のセルフケアが重要です。
Doctor's messageドクターメッセージ
歯周病は歯を支える顎の骨を溶かしてしまう疾患です。
早期治療が望まれますが、進行が遅く放置されやすいので、歯科業界では「サイレントキラー」と別名がついています。
歯周病や歯肉炎は、放置してしまうと最悪の場合は全身に影響を及ぼすリスクがあります。
気になる症状があった際には、早急な受診をおすすめします。
どんなに優れた治療も、健康な歯には勝りませんので、この機会に受診をお考えください。
エス歯科クリニック院長
池 洋典
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機能的治療から審美的治療までお口に関するお悩みは何でもご相談ください。
監修者情報
- エス歯科グループ総院長 白井 崇浩 Takahiro Shirai
- [資格]
・厚生労働省認定歯科医師臨床研修医指導医
・ICOI(国際インプラント学会) 指導医・認定医
・ICOI(国際インプラント学会) 日本エリア支部長(Area Director)
・iACD歯科総合研究指導医・認定医(Interdisciplinary Diplomate)
・iACD国際歯科学会 本部終身理事
・iACD国際歯科学会 日本支部役員 日本理事
・iACDアジア太平洋地域執行委員会常任理事
・ノーベルバイオケア公認インストラクター
・ノーベルバイオケア インプラント プラチナメンバー
・インビザライン ブルーダイヤモンドプロバイダー・認定医(マウスピース矯正)
・Jリーグ 横浜FC 公認クラブデンティスト
・Jリーグ 横浜FC 取締役
・ベルギー1部リーグ シント=トロイデンVV オフィシャルクラブデンティスト
・臨床歯科麻酔管理指導医
・日本顎顔面美容医療協会 認定医
・日本デジタル矯正歯科学会認定医
・スポーツ歯学協議会スポーツマウスガード認定医
・京セラインプラント臨床マイスター
・新潟大学医歯学総合病院 歯科臨床研修管理委員会 研修実施責任者・指導歯科医
・一般社団法人日本口腔ケア学会 評議員
・NYU(ニューヨーク大学) Continuing Dental Japan Program指導医
[所属学会]
・ICOI 国際インプラント学会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本口腔インプラント学会
・iACD国際歯科学会
・日本デジタル矯正歯科学会
・日本口腔ケア学会
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